平凡と理想

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そのメッセージは突然やって来た。 ”最近連絡ないけど、忙しいのか?それとも体調悪い?もし変わらないんだったら今から呑みに行こうぜ” 「あっ……そういえば全然連絡してなかったな」 サロン「Qs」で閉店作業の掃き掃除をしていた時、制服のポケットから震えたのはLINEのメッセージを知らせるバイブ音だった。 勤務中は電源をオフにしているけれど、閉店後はオンにして急ぎの連絡がないかチェックをする。 すると、高校の時からの親友、田口からお誘いのメールが入ってきた。 「どこに行くんだろ……まさか……ね」 脳裏に過ぎるのは田口と呑むと必ず行く奏さんのバー”swallowtail butterfly”だ。 今、現在あそこの2階に住んでいる事は田口に話していない。 それどころか火事にあっている事さえ話をしていないのだから、完璧に言うタイミングを逃していた。
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