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「本当、田口には感謝だよね。あんな理想の人は現実にはなかなか現れないよ」
奏さんは本当に私がずっと思い描いていた理想通りの人。
甘い微笑みに物腰柔らかい雰囲気を纏い、優しく揺れる淡い茶色の髪は彼の穏やかさを表しているかのよう。
それでいて180近い高身長に、20代後半というあの若さで一軒のバーのマスターでもあって接客も完璧。
どこからどう見ても非の打ち所がない。
「あっ、そうだ。今日も田口を誘おうっと」
最後のタオルを干し終えたところで腕時計の時間を確認すると、PM9:50。
きっといつも残業をしている田口も今頃会社を出る頃だ。
いつも声をかけるとすぐ来てくれる田口は、私の一番の呑み仲間。
高校時代からの付き合いだから気を遣う事もないし、一緒にいて気が楽な奴だ。
そんな事を思っていると、チェックを終えた神崎先輩から呼びかけられた。
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