危ない彼は私の片想いの人

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「百合ちゃん、お洗濯終わった?」 「はーい、終わりました」 「うん、じゃあこっちも終わったから看板戻してくれる?あと明かりも」 「了解でーす」 唄うように応えながらサロンの外へ向かう今の私は、どこまでも足取りは軽い。 そして全ての閉店作業を終え、田口に呑む誘いのメールを打ちながら着替えてサロンを出ると、12月の冷たい冬の風が頬を突き刺した。 「うぅ……寒い……」 「毎年温暖化って言われているけれど、やっぱり冬は寒いわねぇ。 じゃあね、百合ちゃん。あまり呑み過ぎないようにね。お疲れ様」 私と違い、姿勢よくヒールの音を鳴らせて都心の駅へと向かうために歩く神崎先輩の後ろ姿に挨拶をする。 神崎先輩は3年も続く彼氏と同棲中でその彼氏の束縛がなかなか酷く、忘年会や歓迎会以外、滅多に一緒にお酒を呑みに行く事がない。 だから神崎先輩と同じシフトの時は、こうして田口を誘う流れになってしまう。
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