癒しの時間と昔話

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翌朝、硬くて冷たいコンクリートの上に眠ったせいか、身体中が酷く痛んだ。 それでも午後12時になる直前まで眠れていたのは身体が相当疲れていたんだろう、目覚めはスッキリとしていた。 そして改めて部屋中を見渡していた。 「はぁ……全部夢ならよかったのに……」 残念な事に、現実は甘くない。 見渡してもその場にあるのはコンクリートの壁と換気のためだけにあるような小窓。 そして一口コンロに小さなシンクと、ユニットバス。 パイプベッドはあるけれど、埃まみれの布団だけだった。 「とりあえずシャワーを浴びて顔を洗って……布団でも干そうかな」 今日は仕事は休みの私。ここでまだ寝泊りをする事になるのなら、少しでも快適に過ごせるようにしなくては。 小さなシンクに携帯用の歯ブラシと歯磨き粉を置き、それから旅行用に買っておいたシャンプー、コンディショナー、洗顔がセットになっているキットをキャリーケースから取り出した。
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