ダレカナカレダ

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 水をあらかた外に捨て終えて、ちょうど、何か変わったことが起きないかと思っていたところだった。  大きな花束を抱えた少女が病室に入ってきて、ぼくの胸は高鳴った。  おや、あんな若いカワイイ子が来るなんて珍しい。朝からせっせと部屋を乾かしておいた甲斐があった。  そんなことを思っていたら、なんと彼女はずんずんとぼくのベッドの方へ歩いてきた。 「こんにちは。おかげんいかが」  そう言って、ぼくににこりと微笑みかける。  ハローニーハオグーテンターク。かわいいお嬢さん。あなたが笑ってからなんだか心拍数がおかしいけれど、ぼくは元気ですよ。 「こんにちは、先生。この人の調子はどうですか」  彼女は次に、ぼくのベッド隣に立つ医者に話しかけた。サンタクロースのようにでっぷり肥った奴は、悲しいことに僕の主治医だ。 「全然だめだねえ」  笑顔で答える、憎らしい医者。  だめってなんだよ、だめって。このお嬢さんにときめいてしまったぼくのために、そこは嘘でも「これ以上ない仕上がりですよ」くらい言ってくれてもいいんじゃないか。
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