ダレカナカレダ

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 あんなかわいらしいお嬢さんのことを忘れてしまっているとは、どういうことだ。  彼女が帰ったあと、ぼくは腕組みをして物思いにふけっていた。  すると何かい。本当は、ぼくらは既知の間柄で、もっとうちとけて色々な会話ができるはずなのに、こともあろうにぼくがそれを忘れているせいでそれが叶わないということかい。  なんてことだ。そんなことが許されていいのか。 「まあ、忘れてしまったものはしょうがない。時間をかければ思い出すかもしれないと、あの子も言ってくれたことだし」  『病気』のせいで、一時的に記憶が混乱しているのかも。  彼女はそう言って、笑ってくれた。ああ、確かにぼくは病気らしい。彼女が笑うたびに胸が苦しくなり、体温が上がってめまいがする。  だが病気なら、治すことができるはずだ。ここは病院で、ぼくは入院患者なのだから。
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