スイーツ王国の終焉

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「確かに祝い事ならあなたは主役かもしれません。しかし、キング。ショート・ストロ・ベリィよ。この城でその玉座に座るのに相応しいのは、この私ですよ」  伯爵は両手を大きく広げ話を続けた。 「……聞くがよい、この歓声を。民は我を奪う為に争っている。さぁ、その玉座を私に……」  キングは片膝をつきうなだれると、渋々、玉座を伯爵に譲った。伯爵が玉座に座ると歓声も争う声も消えた。 「さぁ、勇者よ。我と共に栄光の世界へ……」  黄金色の渦が輝きと甘い香りを漂わせ、モン・ブラン伯爵は宙へと消えた。  勝者の歓喜と敗者の嘆きが、白い白い城の中に木霊し大きなようで小さなスイーツ王国は次々と跡形もなく消えていった――。
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