プロローグみたいなもの

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キィ… 重たい扉が、ゆっくりと開いた。 嗚呼…いつぶりだろう? 眩い光を浴びたのは。 でも直ぐに遮られてしまう。 奴……私の、彼氏によって。 「やあ、XX。元気だった?」 …元気もクソもあるか。 監禁されて、はや1ヶ月が経とうとしている。 私は、椚ヶ丘中学校の生徒だった。 そのはずだったのに。 全ては奴に狂わされてしまった。 椅子に縛り付けられて、足枷に首輪、手は後ろで縛られて。 服なんて、監禁された当初から変わっていない。 綺麗になるどころかボロボロだ。 『…』 「相も変わらず、とても綺麗な肌だ。」 クスッと笑い、奴は私に近付いてきた。 逃げられない私は奴を睨みつけた。 「…反抗するのか? 出来るはずもないのに…… 綺麗な顔が台無しになってしまうよ。 目隠し、しようか?」 ニヤリ、と奴は笑い、私の視界を奪った。 これじゃあ、光すら見えないな。 「ふふ…いい眺めだ。  じゃあ、XX。そろそろ行くよ。  またね。……アイシテル。」 バタン、と音がして、奴が出て行ったことを確認した。 『その言葉が、凶器だとも知らずに。』 私はポツリと、呟いた。
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