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「あの人の適当さは今に始まったことじゃないって」
中島は呆れた表情のまま、フロア端に設置された、電源が点けられたままのテレビ画面を見上げた。そこには大量の汗を垂らし、うろたえる蟹江の姿が映し出されていた。
「どうなるっすかね、これから」
伊藤の問いに目を瞑った中島は、同じよう椅子の背もたれに全体重を預け、そのまま両足を物で溢れたデスクに持ち上げた。そうして足を組みしばらく考えると、徐ろに呟いた。
「まぁ、……解散だろうな」
少し遅れてフロアへ戻った由衣が目を丸くしていた。入るなり直属の上司が「解散」と呟いたことに、またショックを受けているようだった。
言葉もなく静まり返ったフロア。
いかにしてこの状況に陥ったのか。中島は頭の中でこれまでの成り行きを思い出していた――
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