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彼女は渡すはずだったチョコを抱えながら階段にうずくまっていた
B「香奈!」
A「…ユウ」
A「もしかして、見てた?
…私がフラれたところ」
答えられずにいる僕を感じて、香奈は
変なところを見られたなと強がって
笑いながら振り返った
チョコを持つ右手の甲
乾ききらない涙の雫が
夜景の光を反射した
B「…香奈」
A「慰めなんて、いらないよ。
初めから振られるだろうって
…気付いてた、から…」
かすかに唇を噛んで
前に向き直る香奈の姿に
胸が苦しくなった
B「…そのチョコ、どうするの?」
A「…わかんない。どうしようかな。
誰かもらってくれるかな?」
震える声で答える香奈
近寄ってそっと背後から
チョコを持つ手に自分の手を重ねた。
B「それ、僕が貰ってもいいかな?」
A「え?」
B「好きだ」
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