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桜を見に行きましょうって、壮平に誘われて、近所の桜並木まで来た。
比較的花見しやすいから、人で賑わってるのを想像して、少し覚悟しながら来たけど、思ったよりここは人が少なかった。
きっと、平日の昼すぎって事もあると思うけど……この前、隣町にある大きな公園が、桜の名所としてテレビに取り上げられてたみたいで、そっちに人が流れたんだろう。
どんな理由にしろ、人をかき分ける事なく、ゆっくり桜が見れるのは、いいなと思った。
「千夏さん……」
そんな事を思いながら、満開になって咲いてる桜を見上げてると、壮平に呼ばれて顔を戻す。
「なんだよ?」
「俺……今日、どうしても言いたい事があります」
少し真剣な顔した壮平が言うので、さっきと全く同じ言葉で問いかけてみた。
「なんだよ?」
「えと、実は俺……新しくメチャクチャ好き、いや……愛してる人が出来ました!」
「は……?」
いきなり、なに……言ってんだ?
壮平から告げられた言葉が、あまりにも唐突過ぎて、思わず言葉を失ってしまった。
しかも、このタイミングで、言う事か?
桜を見に行こうって言いだしたの、お前じゃん。
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