268人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「はぁ……。壮平、帰るぞ」
色々と落ち着かせた所で、壮平に声をかける。
「え? もう帰るんですか? 早いですよ」
「なんか、今日は疲れた……全部、お前の所為だけど」
本当はもう少し桜を堪能したかったけど、さっきのでそんな気分じゃなくなったしな。
「……すいません。でも、今日千夏さんが言ってくれた本心、俺はちゃんと聞きましたからね」
「だーかーら、あれは……エイプリルフールの嘘だって、言っただろ?」
「じゃあ……俺だけには毎日、エイプリルフール気分で千夏さんの本音を、お願いします!」
「ばーか。本音って言ってる時点で、嘘じゃねぇじゃん。それに、毎日オレに嘘つかれて、壮平はいい気しねぇだろ」
「大丈夫です。千夏さんが嘘ついても、俺の脳内は本音で変換しますから。それに、あんな嬉しい嘘だったら……俺は毎日幸せです」
言いながら、嬉しそうに微笑む壮平を見て、こいつ……重症だなって思った。
でも……そんな顔をされたら、毎日エイプリルフールしてやってもいいかなって少しだけ思ったオレも、相当重症だろう。
まぁ……壮平本人には、絶対言わねぇけどな。
≪終わり≫
最初のコメントを投稿しよう!