雨降り前の

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   「ほら……千夏さんも、シたい時に独特の匂いを醸し出すんですよ。あれ、何て言うんでしょうね? フェロモンってやつですか?」 「ばっ……!」 耳元で囁かれて、オレの体温は一気に急上昇。 更に、壮平の言葉で沸騰地点に達してしまった。 「って……千夏さんが知ってる訳無いですよね。分かるのは……俺だけですから」 「し、知るかよ!」 こ、このぉぉぉ……エロ平! これでオレより一つ年下だなんて……信じらんねぇ! すっげぇエロじゃん! ばっかじゃねぇの?! 「あ、千夏さん……」 もう、これ以上壮平に振り回されたくなかったオレは、歩調を速めて、先を急ぐ。 こんな奴と、呑気に肩を並べて歩いてられっかよ! 「待ってくださいよ~」 勿論、背後から聞える声は、完全無視。 そして、歩くペースは上がっていく。 「千夏さん」 けれど、壮平の大きな手がオレの腕を掴んだ。 たったそれだけなのに……オレの動きは全て止まってしまった。 「なん、だよ……」 赤い顔したまま、壮平を睨む。
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