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「千夏さんは、何を賭けますか?」
「えー……そうだなぁ」
壮平が線香花火を手にしながら、楽しそうに笑った。
くそう……こいつ、オレが負けると思ってるな?
相変わらず男前だけど……その余裕がムカつく。
「よぉし、じゃあ……オレ自身を賭ける。一日、壮平の言う事を聞くってのはどうだ? 肩揉んでやるし、クレープぐらいなら奢ってやるし……まぁ、出来る範囲で何でもしてやるよ」
「へぇ……千夏さん、そこまで強気に出ていいんですか? 後で、後悔しますよ?」
「お前なぁ、オレが明らかに負けると思ってんじゃねぇよ! お前こそ、何賭けるんだ? 自信満々の壮平クン?」
ったく、こいつは……どこからそんな自信が、出てくるって言うんだよ?
「俺は……」
年下のクセに、ムカつく――なんて思っていたら、急に手を取られた。
「へ?」
壮平が何したいのか分からなくて、思わず声を上げれば……奴はそのままオレの手を自分の左胸に当てた。
何だよ、お前……女じゃねぇんだし、そんなとこにオレの手を持って行っても、ぺたんこじゃねぇか。
「じゃあ俺は……命を、千夏さんに預けます」
「はっ……?」
ジッと真剣にオレを見て、壮平が言ったのは……理解の範疇を超えていた。
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