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「お前、何言ってんの? 重すぎ! たかが線香花火だぞ? どっちが先に火球を落とすかっていう、遊びみたいなもんに、簡単に命とか賭けてんじゃねぇよ! こっちが困るだろうが!」
壮平は……オレより勉強が出来て頭がいいくせに、時々訳が分からない事を言い出すから、困る。
軽く言ってきたけど……言われたオレの方は、どうしたらいいんだ? って話しだし。
「はは、すいません。冗談ですよ。ただ……それだけ俺には、自信があるって言いたかっただけです」
「壮平……お前、日増しに性格が曲がってくな。一体、誰の所為だ?」
「それは愚問ですよ、千夏さん」
何だよ、ジッとオレを見つめたりして……明らかにオレの所為だって言ってるも同然じゃねぇか。
「……ふざけてるようだったら、帰るけど?」
「すいません。また冗談が過ぎました」
「じゃあ改めて……お前は、何賭ける?」
「俺も、千夏さんと同じでいいです。俺が負けたら、千夏さんの言う事を何でも聞きます」
「よぉし! じゃあ……始めるぞ!」
オレがそう言ったら、二人同時に線香花火を手にして、火が灯されている蝋燭に点火する。
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