269人が本棚に入れています
本棚に追加
「え…ちょっ……」
すると、頭がグラグラしだし、見ていて危なっかしいので、繋いでる手を引っ張り、引き寄せた。
無事、千夏さんの頭は俺の肩口に乗っかる状態になり、どこも打つことは無かった。
「んー……」
けれど、このなんとも言えない密着状態に、俺は不満に思う。
千夏さんの微かな息が首元にあたるし、体温がもろに伝わってくるし……これは、拷問なのか?
相手は寝そうだし、下手な事は出来ない為、冷静でいられる様に、つけてるテレビに集中するフリして、気を紛らわせる。
間違っても、今は……本能のスイッチを入れてはいけない。
何度か、心の中で、呪文のように唱えた。
「んー。そう、へい……いい匂い」
なのに……だ。
寝ぼけてるのか、よく分からない状態の千夏さんが、そんな事をいいながら、俺の肩口に顔をすり寄せる。
「ちょ、ちょっと……」
誘ってますか?
誘ってるんですか!?
千夏さんーー!!!
もう少しで、理性を飛ばしそうになった所を、空いてる右手で自分の太ももをつねって、その痛みで何とか引き戻す。
「いでっ……」
ふー。
危ない、危ない。
最初のコメントを投稿しよう!