甘さの葛藤

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「え…ちょっ……」 すると、頭がグラグラしだし、見ていて危なっかしいので、繋いでる手を引っ張り、引き寄せた。 無事、千夏さんの頭は俺の肩口に乗っかる状態になり、どこも打つことは無かった。 「んー……」 けれど、このなんとも言えない密着状態に、俺は不満に思う。 千夏さんの微かな息が首元にあたるし、体温がもろに伝わってくるし……これは、拷問なのか? 相手は寝そうだし、下手な事は出来ない為、冷静でいられる様に、つけてるテレビに集中するフリして、気を紛らわせる。 間違っても、今は……本能のスイッチを入れてはいけない。 何度か、心の中で、呪文のように唱えた。 「んー。そう、へい……いい匂い」 なのに……だ。 寝ぼけてるのか、よく分からない状態の千夏さんが、そんな事をいいながら、俺の肩口に顔をすり寄せる。 「ちょ、ちょっと……」 誘ってますか?  誘ってるんですか!? 千夏さんーー!!! もう少しで、理性を飛ばしそうになった所を、空いてる右手で自分の太ももをつねって、その痛みで何とか引き戻す。 「いでっ……」 ふー。 危ない、危ない。
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