甘さの葛藤

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この人……寝ぼけてると、こんなに素直に甘えてくるのか? 今まで知らなかったけど……。 それとも、ホントは起きてて、俺を試してるんじゃないだろうか……? 「いや、まさか……」 そこまで考えて、やめた。 だって、それはありえないから。 普段、ちょっとの事でも顔が赤くなって、恥ずかしがる千夏さんが、自分からこんなに密着してくるとか。ありえるわけが……。 「そうへい……」 って……まだ、俺の肩口に顔をすり寄せてくるんですけど……! かわいい、かわいすぎる……! こんなこと、絶対正気でする訳ない。 それならば……と、こんなレアな千夏さんを正面から見たくて、空いてる方の手で千夏さんの顔に手を伸ばしかけた。 けど。 触れる前に、伸ばした手を降ろす。 「やばいって……」 正面からみたら、きっと……俺のなけなしの理性は彼方まで飛んで行ってしまう。 千夏さんが寝てる時に、それは……不謹慎だと思うわけだ。 もう、いっその事、俺も寝てしまおうか。 理性との葛藤が辛いし…なんて思うけれど、この状況でぐっすり寝れる程の余裕は1ミリも無い。 だから、俺に残された選択肢は、本能のスイッチを入れないように、千夏さんが起きるまで気を紛らわせるだけしかない。
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