超妄想シリーズ16

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 冗談じゃない。オレの子供が何人もいて、そいつらが近親相姦しまくる世の中なんて狂っている。  第一、オンナなんてさわりたくもない。  グニャっとしてブヨっとした締まりのない肉の感触。一度たまたまうっかりオンナの腕をつかんでしまったことがある。  あの柔らかすぎてグニャグニャしたさわり心地が物凄く気持ち悪かった。  今思い出しても嫌悪感で吐き気でムカムカしてくる。  オレは自分のアパートでテレビから流れるニュースを前に部屋の中をグルグルと歩き回っていた。  なんとかこの絶望的な状況から逃げ出さなくては。  これから確実に起こるのは、バイアグラを使ったオンナとの強制的性交渉。  良くてオ×ニーによる精子冷凍保存。  ただし、腎虚になるくらいの回数をこなさなくてはならないだろう。  腎虚は過度に性交することで衰弱する男の体の状態をいうのだが、俗説に睾丸から精子がなくなると男は死ぬと言われている。  ある意味、幸せな死に方だと思うが、妊娠に飢えたオンナどものために精子バンクにされて死ぬのはごめんだ。  どうする、オレ。どうする。  オレは立ち止まって三つの答えを導き出した。 1. 女装して逃げ伸びる 2. 性転換してオンナとして生きる 3. この場で死ぬ  「2」はまず無理だ。そもそもオンナになりたくない。  もっとも、人類最後の精子バンクが機能しなくなるのをオンナたちが許さないだろう。  「1」もできて数日だ。  喉仏は隠しとおせない。  髭も数日で濃くなる。  いくらオレが細身とはいえ、そもそも男女は骨格がちがう。  筋肉のつき方も違う。  だいたい、オンナのやつらは無駄に勘がいいから簡単にばれるだろう。  「3」が一番確実性がある。  でも、どうやって死のう。  手首を切るのは痛いだろう。  醤油一升瓶の一気飲みは無理がある。  睡眠薬を飲んで風呂で溺死したいが、睡眠薬がない。  やっぱりアレか、飛び降り自殺。いや、あれも痛そうだな。なにより怖い……。  携帯電話(スマホ)が鳴った。  オレはあやうく心臓麻痺を起しかけた。  なんてタイミングで電話が来るんだ。  死ぬかと思ったじゃないか、まったく。
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