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「最悪だ...この世の終わりだ...」
5年前。
アメリカのフロリダ州、オキーチョビー湖に降下してきた未知の生物に対する作戦を指揮した指揮官が、その「エイリアン」との戦いの最中、最期に言い残した言葉らしい。
その話を思い出しながら、オレは身に付けているパワードスーツがエイリアンに噛まれ、歪んでいく音を聞いていた。
オレの周りに居た仲間達は、地中から奇襲してきたエイリアン達に殺されている。
他の部隊もオレの居る地点から大きく離れているから、救援には来れないだろう。
「26年...恋人くらい欲しかったなぁ」
そう無意識に呟いた時、何か砕ける音が聞こえた。
音に気付き起き上がると、オレに噛み付いていたエイリアンがグチャグチャに砕けていた。
「兵士さん。 生きてる? 大丈夫?」
どこかから通信が来た。
声の主は...こちらに背を向け、コンバットシールドと剣先が広がった刀らしき武器を構えている兵士らしい。
「救援...か?」
「救援はあたし1人だけ。 部下は他の部隊と一緒に、エイリアンの足止めをしてる」
声からして少年だろうか?
相手が、頭部に5つのカメラを装備したパワードスーツを身に付けているせいで、それ以外分からない。
「ここら辺のエイリアンはある程度片付けてある。 残りは損傷を与えて行動不能にしてるから、戦闘機の面制圧で掃討可能。 あたし達は生存者と共にここから移動するよ」
「オレ以外に生存者が?」
「小隊が一つだけ。 先に移動させてある」
少年の説明を聞きながら、オレはパワードスーツの状態を確認した。
装甲の歪みは戦闘に影響が出ないと分かり安堵する。
バックパックと脚部のスラスターも無傷、推進剤も満タン。
アサルトライフルの弾薬も十分...これなら戦える。
「じゃあ、キミはあたしに付いて来てくれる?」
「ああ、何をすればいい?」
「あたしが前に出るから、サポートで」
「了解」
スラスターを吹かし、高速で地表を滑り出したピンクのパワードスーツをオレは追う。
少年は目の前から走ってくる蜘蛛のような四脚のエイリアンに肉薄し、独特な形状の刀で叩き切った。
何匹も...何匹も。
オレは、後から来る蜘蛛より小さなザトウムシ型のエイリアンをアサルトライフルで撃ち抜く。
「どこに移動するんだ?」
オレは、エイリアンが周囲に居ないか確認しながら聞いた。
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