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「もったいない……」
汗の滲む裸体をシルクのシーツにくるんだ柊子が、俺の腕に顔を預けながら呟いた。
確かに彼女はそこにいるのに
綿か何か……、とにかく重さは感じない。
「この火傷の痕……、小さな頃に出来たんだっけ……?」
「ああ……」
俺の鎖骨の下、縦に数センチ伸びた傷は赤くケロイド状となっている。それを指先で何度もなぞっていた柊子は憤怒するように声を太くした。
「私、その時の藤真に会ったら言ってやりたいわ?この傷さえなければ……藤真は完璧だったのにって」
「ふっ……」
「何で笑うのよ……」
安物で傷物……
ある意味完璧だなって。
「そうだ。パパのお友達に成形外科のお医者様がいるから頼んでみようか?」
「いや……、いいよ。俺には……完璧な柊子がいるから……」
「…………っ……ん……」
これ以上……
飼い慣らされるのはごめんだから。
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