第四章

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「……呆れた」 グリーンのシャドウが光る瞼、その下の瞳がギュッと細くなり、コーラルピンクのルージュに縁取られた唇はぽかーんと開きっぱなし。 開いた口が塞がらない 麗さんはそれを全身で表現してみせた。 「そんな良い男二度と巡り会えないわよ。バカね~。那緒ちゃんってもう少しかしこい子だと思っていたのに……残念。職も家も男も失って人生ドン底ね」 グサッ、グサッ 言葉の槍が次々に心臓を貫く。 週一回の通院日。麗さんは私を慰めたり甘やかしたりしようとはしなかった。それで良い、それが良い。 だって、私は彼女の言う通り取り返しのつかない過ちを犯したのだから。 矢野くんを傷付け、そして失った。 当然の報い。 「あれでしょ、那緒ちゃんって……男心わからないタイプ。それってモテないわよ?性格ブス」 「っ…………」 容赦が無い……
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