第四章

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「おねーちゃん、今日はカレーかい?」 引っ越して来て一週間、初めて店員さんに声をかけられた。 カレー粉を片手に持ちそのパッケージをジロジロと見る中年の女性。いかにも主婦といった雰囲気だった。 「あ、はい……」 「この量だと……独身かい?」 「はい……」 「だと、思ったよ~。私は見れば直ぐにわかるんだよ~!!」 正解した事が嬉しいのか、レジを通す手元もウキウキ踊っている。 独身 そう言われた事も嫌な気は全然しなかった。 「……あんれま!あんたニンジン忘れてるじゃない!待っててあげるから持っておいでよ!」 「……あまり、好きじゃなくて……」 「あら……、そうなの?じゃあ、ハチミツは?隠し味に入れたら美味しいのよ~?」 ……へぇ……
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