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『俺たちには……始まりも無ければ終わりも無い。……別れの言葉を言うつもりも……』
矢野くんの最後の言葉が、エコーをかけたように脳内で何度も繰り返される。
一人になった部屋は、こんなにも広かったのか……と、荷物を纏める私の手を止めさせた。
窓を開けて吹き込んできたのは……季節は違えど、あの時と同じ冷たい風だった。
矢野くんと初めてキスをした……、ライブハウスの裏、自販機の陰。
「っ………………」
私はあの時からズット……優しい彼を傷つけていた。
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