第二章 #2

2/2
268人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
『俺たちには……始まりも無ければ終わりも無い。……別れの言葉を言うつもりも……』 矢野くんの最後の言葉が、エコーをかけたように脳内で何度も繰り返される。 一人になった部屋は、こんなにも広かったのか……と、荷物を纏める私の手を止めさせた。 窓を開けて吹き込んできたのは……季節は違えど、あの時と同じ冷たい風だった。 矢野くんと初めてキスをした……、ライブハウスの裏、自販機の陰。 「っ………………」 私はあの時からズット……優しい彼を傷つけていた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!