第五章

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間接照明の柔らかなオレンジ色が、レンガ組みの壁をぼんやりと映し出している。 都内のフレンチレストラン、いたる所から聞こえるワイワイと賑やかな男女の声、お客の年齢層は低そうだ。 こんなお洒落な場所に私がいていいものか 出来るなら……逃げ出したい。 「その服……、サイズぴったりで良かったです」 横長なテーブル席、私の左側に座ったきいちゃんがこちらを向いてニコリと微笑む。 その奥側では、彼女の学生時代からの友人だという女の子二人が楽し気にお喋りをしていた。 可愛い子の友達はやっぱり可愛いんだね……納得。 「うん……、ありがと……」 「那緒さんがジーンズのまま来るとか言うからビックリしちゃいましたよ!私のロッカーに着替えがあったから良かったけどっ……ふふっ」 きいちゃんに借りた濃紺のワンピース、鎖骨は丸見えだし、スカート丈は膝にも届いていない。 こんな服なんて今まで着た事もないからとにかく寒い…… そして、こんな大胆な服を常備しているきいちゃんとは一体…… 「那緒さん、すっごく肌が白くて綺麗なんですからこれ位露出した方が絶対可愛いですよ?あとは、髪もアップにしてみたり……こんな、風に……あっ、来た来たっ……!」
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