268人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「宮我さんっ、こっちこっち!」
きいちゃんが席からガタンっと立ち上がったと同時に、私は心臓がキュウッと絞られるような感覚に襲われた。
恐る恐る店の入り口の方に目をやれば、スーツ姿の男性三人がキョロキョロと店内を見回していた。
きいちゃんの声に気付いた宮我と呼ばれた男性が、こちらに手を振りながら近付いて来る。
「ごめんごめん、きいちゃん。待たせちゃったかな?」
「んーん。全然だよ。ね?」
きいちゃんが左右に座る私達に目配せをする。
本当は一時間前から待っていたけれど
ここは頷くのがセオリーなんだ……と、きいちゃんの友人達を見習って首を縦にコクコクと振った。
最初のコメントを投稿しよう!