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近所の中華料理屋から配達される食事は、いつも丁度いいぬるさを保っている。
それが、売りです
そう、言われれば納得してしまう程。
海外から取り寄せたという柊子自慢の食器の上で、熱いわけでも冷めきった訳でもないチリソースがドロリ……噛み締めても噛み締めても味は感じなかった。
「ね、パパがね……藤真を早くうちの会社に寄越せって煩いのよ。婿に取締役の席を開けて待ってるんだからって何度も何度も電話で……?」
柊子の声がしりつぼみに消えていくのは、アンティークのテレビボードの方を見つめる俺に気がついたから。
大学卒業の日、二人で並び撮った写真。
彼女はソレを初めての写真だといって、喜んで飾っていた。
「あっ……あれ?おかしいね、なんで倒れてるんだろう。地震でもあったのかしら……」
「っ……さあな」
どうも、柊子を取り巻く男達は挑戦的な奴が多くて困る。いつだったか、Lサイズの白衣を風呂場にそのまま脱ぎ捨てていった男がいた。
俺に存在を知らせてどうしたい……
お前の女を寝取ってやった、悔しいだろう
と、でも……言いたいのか。
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