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「……藤真?」
「ん……」
柊子の長く美しい指先が、頬をかすめる
口端についていたソースを舌舐めずりした唇が、ソッと俺に口付けた。
「凄く……、疲れた顔してる……そんなに大変な思いしてまで働かなくても良いんだよ……?そうだ。二人で世界一周旅行でもして、色んな所で写真を撮りましょ……?それに飽きたら、パパの会社に雇ってもらえばいいじゃない。お給料もウンっと上がるし……」
首に絡み付く華奢な腕
フワリとローズの香りが漂った。
「いや……、楽しいよ。凄く……」
「私……、思うことがあるの……。昔の藤真はもっと……!?」
テーブルの上、高級食器達が上品な音色でカシャンッと揺れる。
そいつらの御主人は、今は俺の下。
征服感、支配感……
自分が……
この部屋のどんな物よりも安物だから。
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