第三章

7/8
268人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「……藤真?」 「ん……」 柊子の長く美しい指先が、頬をかすめる 口端についていたソースを舌舐めずりした唇が、ソッと俺に口付けた。 「凄く……、疲れた顔してる……そんなに大変な思いしてまで働かなくても良いんだよ……?そうだ。二人で世界一周旅行でもして、色んな所で写真を撮りましょ……?それに飽きたら、パパの会社に雇ってもらえばいいじゃない。お給料もウンっと上がるし……」 首に絡み付く華奢な腕 フワリとローズの香りが漂った。 「いや……、楽しいよ。凄く……」 「私……、思うことがあるの……。昔の藤真はもっと……!?」 テーブルの上、高級食器達が上品な音色でカシャンッと揺れる。 そいつらの御主人は、今は俺の下。 征服感、支配感…… 自分が…… この部屋のどんな物よりも安物だから。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!