第八章 #2

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「っ…………」 自分の家に帰るだけだというのに……、鍵を持つ手が震えていた。 ――――――――――カチャン 僅かに開いた扉。 柊子の……匂いが、気配が…… そこにはあった。 でも…… 二つ並んだ男物の革靴、脱ぎ捨てられたスーツの上着、リビングと玄関を隔てた扉の向こうから漏れ聞こえる笑い声。 その場所は、俺を必要とはしていなかった。
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