第十三章

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荷物の差出人の欄には、父の名前があった。 前に帰省した時、今度野菜を送るからって言ってたから……多分、ソレだ。 「はい。ありがとうございます。では……、こちら。ああっ……、重たいので中に運びましょうか?」 「いえいえ、そんなっ……大丈夫で……!?」 荷物を受け取ろうと白の段ボールの底に手を添えた瞬間、想像を越えるその重さに私はバランスを崩した。 「危ないっ……!!」 「っ…………!?」 咄嗟に手を伸ばした宅配便の彼と、私の手が重なる。 なんという、ドラマチックな展開……? じゃなくて…… 「…………あれ……?」 「はぁ……驚いた。大丈夫ですか……?」 「は、はい……」 男性に触れたのに、苦しくもなんともない……。
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