第十五章

12/12
244人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
人、一人分程度にしか幅の無いベランダに出て、鉄柵に寄りかかり星の見えない空を見上げる。 右手にはもちろん缶ビール。それを一口グビッと飲んで、重たい息を吐き出すと……少しだけ心が安らいだ気がした。 さっきまでは自分が自分じゃないというか……、生きた心地がしなかった。 もう、今日は何をやっても駄目な日……。 散らかり放題のキッチンも明日片付けるとしよう。 「はぁっ…………」 両手を枕にして、ゆっくりと目を閉じる。 そうしてみても、やっぱり浮かぶのは…… 「すいません。煙たいんですけど」 そうそう。こんな声の生意気男…… 「って……、え……?」 今、どこから声が……?
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!