第十四章

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俺の願いとは裏腹に、雨の勢いは更に増し…… 「…………くしゅんっ」 「だから、言っただろうが……」 「部屋に上がれなくても、こうして隣にいられるだけで嬉しいです……」 いつまで経っても家の住所を教えようとはしない菅原の隣で途方にくれる。 捨てられた子犬のような瞳で、健気さを演出してるつもりかよ…… 「っ…………とりあえずここはマズイ。車に戻って話そう」 「なんでですかっ!!話すなら中でも出来ますよ?お部屋が汚いとか、臭いとか……私そういうの一切気にしませんから!!」 「だからっ……」 この状況を知られたくない女がいるんだと……、危うく口にしそうになってハッとする。 何故、俺が那緒に気を使わなきゃいけない? あいつは…… クソ……思い出しただけでイライラしてきた……。
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