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翌朝、那緒はケロッとした顔で言った。
『都合の良い女になるつもり無いから』
脳内で色んなものが、崩れ落ちた気分だった。
ふざけんじゃねぇ
と、罵声を浴びせたくなる感情を必死に堪えた。
そりゃあ、ハッキリと言葉にしなかった俺も悪かった。
インパクトに残らなかったせいで、記憶からも消えたんだろうし?
でも、こっちは過去にこっぴどくフラれてんだから察しろよって……
「…………あの、クソ女……」
「え……?今、何か言いました?」
「…………いや、何も」
自分の世界に入り込み過ぎて、菅原の存在をスッカリ忘れていた。
皮肉にも、この激しい雨音に……助けられた。
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