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応接室を出て、見送りの為受付の前を横切った時、
土井さんは思い出したように足を止め、クルリとこちらに向き直った。
「一之瀬さんね……、隠さなくてもいいよ。コレが……いるんだろう?」
土井さんはそう言って、小指をピンっと立てて見せた。
コレ……つまり、女。
「いえいえ、そんなっ……」
「俺にゃあ、わかるよ?今日の一之瀬さんはいつもより笑顔が多いもの。良いことでも……あったんだろう?」
「…………残念ながら」
ニヤニヤと口元緩くする土井さんに、溜め息混じりの笑顔を浮かべて見せると
土井さんはちぇっとつまらなそうに唇を突き出し、受付のカウンターで受話器を持つ菅原に、軽い御辞儀をしてからまた歩き出した。
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