第十六章

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「で……、これでわかっただろ!?この部屋の何処で女とその気になるっつうんだよ!!」 思い出したようにムキになって声を荒げる藤真をチラッと横目にしてから、改めて部屋中を見渡してみると 床に上丁寧に並べられた図面や写真。ゴミ袋の中には模型の失敗作だろうか白の板のようなものがいっぱいに詰まっている。 言われてみればここは部屋というよりは、仕事部屋という雰囲気。 殺風景にも程がある……。 「ちなみに、藤真は一体どこで寝てるの……?」 「ん」 彼が顎先をクイっと動かし示したのは、キッチン前の小さなスペース。 そこに、寝袋がポツンっと置かれていた。 「えええっ……!?嘘でしょ?ありえないっ……!!」 声を大にして笑って気がついた。 さっきの、彼女の笑い声はもしや…… これを見たから……? 大の大人が部屋の隅っこで丸まってるなんて……、それは笑っちゃうわ。
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