第二十一章

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「ねぇ、ひよりん。向こうに事務所の社長が来てるんだ。軽く挨拶したいから付き合ってくれる?」 「うん、勿論だよ。ごめんね、那緒ちゃん……また後でっ」 主役の二人が肩を寄せ合い去ってゆく後ろ姿を見送って、私はホゥッと安堵の息を吐き出した。 恐るべし、新婚パワー。 幸せのお裾分けどころか……、今の私の現状じゃ押し潰されそう。 両手に抱えた小さな花束に目を落として、溜め息。 これじゃあ、千春の言う通り。 私の未来は…… 「随分、浮かない顔をしているな」
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