第二十章

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よっぽど気持ちが張り詰めていたのだろう。 繋いだ彼女の手は僅かに震えていた。 「大丈夫。こんな綺麗な花嫁さん見たら……、圭ちゃんもっとひよりを好きになるよ?」 「う、ん…………」 「ほら、ひより。ドレスが汚れるから立って?……せっかくのメイクも……」 ポーチからハンカチを取り出し、ひよりの目尻を濡らす涙を拭き取り 「うん。やっぱり綺麗。大丈夫!!」 と、肩を軽く叩いて気合いを注入。 「……那緒ちゃん……。ありがとぉ……」 やっと笑顔を浮かべたひよりの目尻がクタッと垂れて……、押し出されるようにしてまた涙が一粒。 昔とちっとも変わらないその表情に……、私もつられて笑った。
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