第二十章

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「ちょっと、あんた達。私の存在忘れてません?」 突然背後から聞こえた声に振り返ると…… 扉に背をもたれながら両腕を組み、待ちくたびれたと言わんばかりに空あくびをして見せる千春の姿があった。 紺色のワンピースに、アップで纏めたオデコ全開のヘアスタイル、真っ赤なルージュ。 一見、どこかのホステスさんでも紛れ込んだのかと思う程……バッチリと着飾った彼女は夜の匂いを漂わせていた。 「ひよりの事だから今頃アタフタしてんじゃないかと思って来てみたら……、私をのけ者にして女の友情真っ最中?この、薄情者っ……!」 わざとらしくキーっと口を横に伸ばした千春に、私とひよりは顔を見合わせ首を傾げた。
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