208人が本棚に入れています
本棚に追加
こんなんじゃ駄目だ……。
今日はひよりの晴れの舞台なんだから!
パンパンっと両頬を叩いて深呼吸する私に、千春はそれよりも……と、口を開きバージンロードを挟んだ向こう側の席を指さした。
「ほらほら……、いたわよ!」
「ええっ……!?」
体を前のめりにして、彼女の指の先を追い掛けると……、
姿勢良く椅子に腰をかけるスーツ姿の男性が、真っ直ぐに祭壇の方を見据えている。
クイっと眼鏡を直す仕草に……、例えようのない懐かしさが込み上げた。
嘘……
「…………矢野……くん……」
最初のコメントを投稿しよう!