第二十一章

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「久し振りだな、那緒」 「う、うん……」 「ふっ……化け物でも見たような顔をするな」 「いや、こっちに帰って来てるなんて知らなかったから……。てっきり……」 久し振りに見る矢野くんは以前とほとんど変わらない。しいて言うならば、髪が伸びた事と、体格が少しだけガッシリしたような……? 「ちょうど、一時帰国の予定が早まったんでな」 「そうだったんだ……」 なんとなく彼と目を合わせることが出来ず、ふいにうつ向いた私の頭上に それに……と、矢野くんが意味深に言葉を付け足した。 「ここに来れば……、那緒にも会えると思ったから」 「っ……!?」 あまりにもサラッと言うもんだから、私は熱くなる頬を隠すのも忘れ、目を見開き固まった。
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