208人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、ひよりん。向こうに事務所の社長が来てるんだ。軽く挨拶したいから付き合ってくれる?」
「うん、勿論だよ。ごめんね、那緒ちゃん……また後でっ」
主役の二人が肩を寄せ合い去ってゆく後ろ姿を見送って、私はホゥッと安堵の息を吐き出した。
恐るべし、新婚パワー。
幸せのお裾分けどころか……、今の私の現状じゃ押し潰されそう。
両手に抱えた小さな花束に目を落として、溜め息。
これじゃあ、千春の言う通り。
私の未来は……
「随分、浮かない顔をしているな」
最初のコメントを投稿しよう!