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「私……ってさ、矢野くんといるときもなんていうかな……、ガサツだったかな?」
「え……?」
「いやっ……、ごめん!今のは忘れて」
そんな事、矢野くんに聞くのもおかしな話だよね……。
「なるほど。そういう事か……。いや、そんな事はない。那緒はいつも俺によくしてくれていた。不満に思った事等……、一度も無かったよ」
「……そうなの?私はてっきり……、矢野くんがずっと我慢してくれてたんだろうなって思ってた……」
「悔しいけれど……、俺の前で那緒はいつも気を張っていたんだろうな。粗相をしないように、迷惑をかけないように」
「っ…………」
「長い時間を過ごしたが……、結局。俺達はいつも他人だった」
そう、静かに呟いた矢野くんが背伸びをするようにして空を仰ぎ見た。
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