第二十三章 #2

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「どうしようかな……」 右手に持ったままの藤真の携帯に目を落とした瞬間……、 ドクンッと心臓が強く鼓動した。 画面に表示されていたのは 080ー××××ー×××× 番号だけだった。 「っ…………」 何かを察したように、着信が鳴り止む。 が、着信一件の表示に私の心臓の胸騒ぎはバクンバクンと鳴りやまない。 駄目だ、駄目だ と、思っているのに…… 震える指先、リダイヤルボタンを押した。 プルルル、プルルル…… 耳元で響くコール音。 三回目に差し掛かったその時。 繋がった電話。 向こうから聞こえて来た声は…… 「もしもし、藤真?ごめんね、夜遅くに……。起こしちゃったかしらっ……。私、今日貴方に会えて嬉しくって。いてもたってもいられなくって……」 「…………柊子……?」 「え……?……那緒……なの?」 忘れたくても忘れられない。 色気を含んだ……彼女の声だった。
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