第二十五章

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藤真に促されるままリビングに入ると、奥の仏間で母の写真に手を合わせていたお父さんが、私達に気付き振り向いた。 「話し合いは終わったのか?」 お線香の香り漂う畳敷きのその部屋に私達が入ると、お父さんはそう言ってクックッと笑った。 「一応ね」 と、隣に立つ藤真が苦笑いしながら返事をする。 その横顔はどこか緊張して見えた。 「ほら、那緒……藤真も。母さんに挨拶しなさい」 「う、うんっ……」
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