第二十五章

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堅い表情で私達のやり取りを見守っていたお父さんが、突然、クッと吹き出すように息を漏らした。 「お前達は本当に……。昔から仲が良いのか悪いのかわからないなぁ」 目尻にクシャリと皺を寄せて、穏やかな口調で話し微笑むと……お父さんは私と藤真を交互に見据えた。 「二人とももう立派な大人なんだ。好きなようにしなさい。母さんも藤真のこんな立派な姿を見れば……きっと、同じ事を言うだろうね」 「っ…………」 母の写真に目を移すと……一瞬だけ、ほんの一瞬だけ頷いたように思えた。 それはたぶん錯覚。 錯覚なんだろうけれども…… 私の頬を……涙がポロリと伝った。
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