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『そっか。藤真くんは知ってるのね……。でも、那緒には言わないであげてね?あの子誰に似たのか泣き虫だから』
『……』
それが那緒にとって良いのか悪いのかはわからなかった。けど、彼女の自分よりも那緒を案じる切な気な表情を前に俺は黙って頷いた。
大人の事情っていうのはいつも難しい。
『藤真くんは……、那緒のどこを好きになってくれたのかな?オバサンに似て可愛い所かしら?』
『っ……あいつは可愛くない!!』
『それってどういう意味かしら』
『ちっ……違う。そうじゃなくて……』
『フフッ。大丈夫、わかってるわよ』
那緒の母親との時間はゆっくり流れた。この場所が学校とは違って騒がしくないせいなのか……とにかく、調子が狂うのは確かだった。
『でもね……、あげないよ?』
『っ……!?』
『あげない。オバサンの大事な娘なの。いくら、藤真くんでも……許さない』
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