第1楽章~月蝕(げっしょく)

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「しんいち…しんいち…見つかってよかった…」 「おとーさん、しんいちさんのことを心配していたのよ…13年前に出て行けと言ったことが原因で…しんいちさんが自暴自棄におちいってしまったのではないのかと思って…」 兄夫婦は、しんいちに涙ながらになりまして一緒に家に帰ろうかと言っていましたが、しんいちは兄夫婦をするどい目付きでにらみ続けていたのでありました。 警察署の職員さんは、しんいちに『お前…兄夫婦は泣いているのだぞ…こんなにいい家族がいるのにどうして家出をしたりしたのだ…』と泣きながら怒っていたのでありました。 しんいちはこの時、するどい目付きで兄夫婦をにらみながら『どーしても帰れと言うのかよ!!』と思っていたのでありました。 さよ子は、しんいちに『おとーさんとおかーさんはもう一度家族で仲良く暮らしたいと言っているのよ…』と何度も言いましたが、しんいちはますますかたくなになっていたのでありました。 話し合いをした結果、一度家に帰りまして改めて家族で話し合いをしようと言うことで合意しまして家に帰ることにしました。 その日の夕方に、しんいちは壬生川の家に13年ぶりに帰って来たのでありました。 家に帰って来たしんいちは、両親と再会をしましたが、しんいちは両親にするどい目付きで見つめていたのでありました。 しんいちの父親(72歳)は、しんいちに『出て行けと怒鳴ったことは悪かった…許してくれ…』と言いまして、もう一度家族で仲良く暮らしたいとコンガンしていたのでありました。 しんいちの母親(66歳)も、もう一度仲良く暮らしたいと言いまして、しんいちにコンガンしていたのでありました。 さよ子は、しんいちに『おとーさんとおかーさんはもう一度家族で仲良く暮らしたいと言っているのよ…』と言いまして、もう一度家族で仲良く暮らして行きましょうねと言ったのでありました。 しんいちは、しぶしぶとした表情でもう一度家族で仲良く暮らすと言いまして、家で暮らすと言うことになりましたが、数日後に北海道で発生しました母娘殺人事件で容疑者の男を北海道警が特別手配をしたと言うニュースが報じられた日を境にしまして、しんいちの家庭では、小さなほころびが目立っていたのでありました。 そして、ここから恐ろしい悲劇の幕が上がったのでありました。
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