第1楽章~月蝕(げっしょく)

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時は、2016年8月23日頃のことでありました。 しんいちは、いつも通りに労災病院にいまして、水回りの清掃を決められた時間内に済ませたのでありました。 この日は、しんいちと同じく労災病院に入って委託作業をしていました業者の男性従業員さんたち6人は、高木町にあります結婚式場で開催されるコンカツイベントに参加をするので、業者さんの休憩室で着替えと髪の毛の手入れなどをしていたのでありました。 この日、参加を予定していた別の男性ひとりが出席することができないのでだれか出席する人はいないかなとAさんが言いましたので、しんいちが名乗り出たのでありました。 Aさんは、しんいちに半分あつかましい声でこう言ったのでありました。 「あれ?お前は仕事が終わったらまっすぐに家に帰りなさいとセンターの人から言われているのじゃないのかなぁ…」 しんいちは、家にいてもつまらないと言いましたのでAさんはなおもあつかましい声でこう言ったのでありました。 「お前…せっかく家で待ってくれている家族がいるのだから帰ってあげたらどうかな…今夜の天気予報を聞いていないみたいだね…今夜は大雨で警報が出る可能性があるのだよ…今夜の晩ごはんは兄嫁さんのお手製のとん汁だと思うよ…」 Aさんは、しんいちに『家に帰ってあげないと家族がかわいそうじゃないのかな…』と言われたので、しぶしぶとした表情で家に帰ったのでありました。 しんいちの家では、両親とけいいちとさよ子と兄夫婦の3人のお子さん(7歳女の子・5歳女の子・3歳男の子)がいまして、さよ子が作った晩ごはんを食べていたのでありました。 3人のお子さんは、さよ子のお手製のとん汁をおかわりしていました。 しんいちの父親も『さよ子さんのお手製のとん汁おいしいなぁ…』と言いまして、おかわりをお願いしました。 「はーい…おかわりよ。」 「ありがとう…さよ子さんのお手製のとん汁はおいしいなぁ…」 ちょうどその時に、しんいちが家に帰って来たのでありました。 さよ子は、しんいちに『今からごはんを用意してあげるわね…』と言いましてごはんの用意をしようとしていましたが、しんいちはさよ子にグロウされたと思い込んでしまったので、大声をはりあげてさよ子に怒鳴ったのでありました。
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