第2章

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「いつか、こんなステージで演奏できたらいいなぁ、とは思うけど、初心者に毛が生えた程度だからなぁ。」 「俺だって、そんなに上手くはないですよ。」 クスクス笑いながら、優しい目で俺を見る。 「何言ってるんだい。この前の演奏、すごかったじゃない。」 あ。そうか。奏多さんも、あの時いたんだっけ。 「すごくないです。俺じゃなくて、ヨージとかシノがすごいだけで・・・」 褒め殺しみたいで、恥ずかしくなって、俯いてしまう。 でも、本当にすごいのは、あいつらだし。 「そんなことないよ。」 あれ。 さっきまでと声のトーンが違・・う? ハッとして顔をあげると、真剣な眼差しで俺を見下ろしている。 "奏多さんって、背が高いんだ・・・。" って、関係ないことが頭の中をすり抜けていく。 「きみも、十分上手いよ。俺が羨ましいって思うくらい。」 そう言って、奏多さんは俺の頭を軽く撫でた。
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