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「奏多さん、これからは先輩ですね。」
少しだけ、あなたに近づけました。
最初は、同じライブハウスにいるだけの人だったのが。
後輩の兄ということを知って。
今は、同じ大学の先輩という存在に変わった。
そしてできるなら、もっと、もっと、近い存在になりたいと願っている俺がいる。
「タカトシ、入学祝いに、何かご馳走してやろうか?」
前を歩く奏多さんの後を、ゆっくりと歩く。
今は並んで歩くと、少し見下ろすようになっている自分に気づく。
「マジですか。」
「ああ、何が食べたい?」
"あなたが食べたいです。"
そんな思いであなたを思っているとは、思ってもいないでしょうね。
でも、いつか、あなたにこの気持ちを伝えたい。
「じゃあ、ステーキで。」
「おい、お前な。」
そんな風に呆れた顔も好きなんです。
奏多さん。
いつか、俺と一緒に歩いてくれませんか。
-Fin-
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