プロローグ

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姉貴に連れられて行った、初めてのライブハウス。 中学の卒業式の後、卒業祝いだと言って連れて行ってくれた。 そこで、身体中に突き刺さるような音の世界に、俺はのみこまれた。 ステージで、ドラムを叩く姉貴。 長い黒髪を振り乱し、しっとりと額に汗を光らせ、そして観客を睥睨するように見つめてる。 いつも見ている快活な男っぽい姿とは違い、妖艶で、俺とは別の生き物・・・"女"なのだ、と実感させられる。 "女王" 頭に浮かんだのは、この言葉。 俺の姉貴なのに、目が離せない。 そう思うくらい、かっこよかった。 それから。 半年後。 俺も、姉貴と同じステージに立つようになる。 そして。 その場所で。 俺の心を捕えて、虜にする"あの人"と出会ってしまう。
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