第2章

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「おお、タカトシくんだっけか。」 タバコをくわえながら、俺の姿を見つけた須賀さんは、ニコニコしながら、パイプ椅子を勧めてくれた。 「すいません、急に来ちゃって。」 「いや。冴に用?今日は、あいつ、来ないけど。」 そうなんだ・・・と思いながら、フロアから聴こえてくるざわめきと音楽に耳を傾ける。 「まだ、迷ってるの?」 俺の顔をじっと見つめる須賀さん。 「・・・正直、自信ないんですよね。」 須賀さんの目を見ることができずに、ステージのほうを見る。あそこに、俺は立っていいんだろうか。 「そんな大げさに考えなくてもいいのに。」 大げさにも考える。 だって、あの姉貴をドラマーに据えるってことは、それだけ期待もされるんだ。 表情が出にくいと言われる俺だって、やっぱりビビる。
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